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AOD(音響光学偏向器)とは?レーザ加工原理やAOMとの違い、活用方法を解説

微細加工超高速加工

2024.1.25 2024.1.25

AODとは、Acousto-Optic(音響光学)の略称であり、レーザ加工において利用される技術です。レーザ加工における音響光学の応用には、AOM(Acousto-Optic Modulator、音響光学変調器)とAODがあります。AOMは、入力レーザのビーム強度(周波数)を変調するために超音波を適用する装置です。一方、AODは入力ビームに超音波を適用し、レーザの出力位置を精密に制御する装置です。この出力位置の高度な制御により、AODは高精度の加工が可能です。類似機能のガルバノスキャナよりも高速な加工が実現可能です。高速かつ微細加工の特性があるため、現在多様な業界での利用が広がっています。

AODの原理

レーザが特定の媒体内に入ると、その媒体の特性によってレーザ光の屈折率が変化する現象が起こります。これを音響光学効果と呼び、AODはこの現象を利用しています。AODは、光学結晶内に印加される超音波の周波数と強度を調整することで、入力レーザの方向を精密に制御することができます。

AODの構造と機能

AODの主要な構成要素には、超音波発生器特殊な結晶(光学結晶)、そして偏向器があります。超音波発生器はAODの中核部分であり、音響波(超音波)を生成します。この超音波はまず光学結晶に送り込まれ、ここでレーザは音響光学効果によりその経路が変化します。偏向器は、変更されたレーザの出力経路を高度に制御します。これにより、AODはレーザを用いた精密加工や高速スキャニングを可能にしております。

AODの応用と利点

AODはレーザ加工に応用できます。レーザ加工とは、レーザを用いて物体の表面を高速で走査し、切断やマーキング加工を行う加工技術です。AODの利用により、レーザの出力位置を高精度に制御することが可能となり、複雑な形状や微細加工が可能になります。AODの利点としては、以下が挙げられます。

高速性

AODはレーザの出力位置の制御を高速で行えます。これにより、加工時間を短縮し、レーザ加工を利用した量産時の生産性を向上させることができます。

精度と柔軟性

AODは非常に高い精度で光を制御できる上、その設定を柔軟に変更可能です。これにより、さまざまなアプリケーションに対応し、カスタマイズされた加工条件を設定できます。

非接触加工

AODを使用するレーザ光の出力位置制御は、加工対象物との物理的接触が不要です。そのため、加工対象に対するダメージや汚染を防ぐことができます。

AODの選択と注意点

AODはレーザ加工業界においては比較的よく知られた技術ですが、多くのノウハウとスキルが必要であり、導入は限られています。AODの得意とする領域は、限定された面積に対し、高精度な加工をすることです。広範囲の加工にはガルバノスキャナの使用が必要です。広範囲を高精度に加工するためには、AODとガルバノスキャナの組み合わせシステムが求められます。しかし、このようなシステムはAOD単体よりもシステム設計や制御が複雑になります。

伯東は、AODだけでなくガルバノスキャナヘッド、発振器、測定機器、治具など様々なレーザ加工装置を取り扱っています。当社のレーザ加工に関する豊富な知識をAODに組み合わせることで、導入の際の課題を解決できます。当社のシステムを利用することで、広範囲を高速かつ高精度に加工できるシステムの提供が可能です。

まとめ

AODは超音波を用いて対象物質内の屈折率変化を引き起こし、レーザの出力位置を高度に制御する機能を持つものです。特に限定された面積に対する精密加工において優れており、従来のガルバノスキャナよりも高速な加工が可能です。しかし、多くのノウハウとスキルが必要であり、導入はあまり進んでいません。

伯東ではAODを含む多様なレーザ加工装置を取り扱い、販売しています。加工材料や仕上げのご希望に応じて、レーザ光の選定からガルバノスキャナヘッド、発振器、測定機器、AODを用いたレーザ偏光部の仕様までを決定し、最適なソリューションを提供可能です。当社にご相談いただければ、高加工精度と高生産性を実現するシステムと加工条件も提案いたします。お客様の個別ニーズに合わせた最適なソリューションも提供可能です。

AOD導入に関するご検討や相談がございましたら、お気軽にご連絡ください。

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